タイトル『真信』











真信











ポケモントレーナーが一番お世話になっている施設、ポケモンセンター。
そこにはポケモンを育てる旅をするトレーナーに基礎的なことは何一つ不自由しないところだ。
ポケモンを無料で治療してくれたり、パソコンを無料開放していたりなど無いものといえば道具くらいである。
トレーナーの集まるその場所で一人の少女がポケモンを治療してくれるジョーイさんにモンスターボールを受け取っていた。


「皆元気になりましたよ、ウフフ見るたびにちゃんのポケモンは強くなっているわね」

「いつも有難うございますジョーイさん。
 たしかにこの仔たちは強くなっていますが、私自身はまだまだ修行が足りません」


フフフッ頑張りやさんね。
とジョーイさんと仲良く会話している様子をみる限りでは、はかなりの常連なのだろう。
それでは、とは手を振りポケモンセンターをあとにした。
外は晴れ晴れとしていて雲ひとつない晴天だった。野生のポケモンも元気にはしゃぎまわっている。
は思いっきり背伸びをしてひと段落つこうとしたとき、いきなり目の前ににボールを突きつけている少年が眼に飛び込んできた。
少年の眼はとても勝負に燃えているのがひと目で分かる。
その様子をため息をつきながらはダラリとつぶやく。


「なんでどこに行っても皆私と勝負したがるの・・。
 悪いけど私今は勝負したくないの。」


「五月蝿い!俺と勝負しろ!!
 俺はここ周辺でトレーナーを倒してきた。
 そして今、ジムリーダーよりも強いと言われているお前を倒したら、俺は最強のトレーナーになれるんだ!」


少年の言うとおりはとてつもなく強いと言われてポケモン界を騒がせている存在だ。
しかし彼女はポケモンを戦わせるのがあまり好きではなかった。
もしもポケモンがポケモン同士をひんしにする過酷なバトルが嫌いだったら、トレーナーの言うことだから渋々しているのだったらと思うと胸が痛むからだった。
だがの考えは無理やり交戦を挑まれたときバトルして、ポケモンたちの嬉しそうな輝いてる顔を見るとその考えは打ち砕かれた。
だからといってポケモンを傷つけることは好まないは自分と互角に戦えるポケモンとトレーナーとしか相手をしなくなったのだ。
しかしその行動がチャンピオンを夢見るトレーナーのハートに火をつけてしまったらしい。


は渋々ボールからフライゴンを出して戦うかのポーズをとった。
その様子を見て少年はニヤリと笑い少年のポケモン、ラフレシアを出した。そして技の指示をする。


「ばいばい」


しかし当のはポケモンに技の指示をせず自分がフライゴンにまたがり空に飛び立った。
最近はテレビに出されそうになったり、雑誌にも載るようになって自分と戦おうとするトレーナーが後を絶たなくなったのだ。
それに対処するため、今のように空を飛んで逃げたり、煙幕をはって逃げたりなど色々な手を尽くして逃走している。
が、そのようなことをしていると『と戦いたい会』や『ファンクラブ』などが色んな手を打ってきてとても苦しい状態なのだ。
自由になりたくて旅に出たというのに、結果的には家で手伝いしている方が自由になってしまった。
これは人権問題なのではないのだろうか、ファンクラブならおとなしく逃がしてくれと頭を悩ませる。



「誰にも見つからない場所ないかな・・。
 強いポケモンがいて柔なトレーナーは出入りできない場所・・・。」




するとの頭にボーと浮かび上がった。
そしてにっこりと笑いフライゴンに指示をする。































「フライゴン、トクサネシティへ!」

































は追っ手に見つからないように人影の無い場所でゆっくり降りる。
フライゴンもが困っていることを知って何も言わなくとも静かに着陸してくれるところが有難くて、申し訳なかった。


「フライゴンいつも有難う。ゆっくり休んで」


フライゴンの耳元で静かに呟きボールに戻す。
これから目的の地に行くまでに追っ手に見つからないようどう行くかが問題だ。
できるだけ人気の無い場所に着陸したため、目的の民家までは差ほど遠くはないのだが、身を潜めながら行くためかなりの距離になるだろう。
考え込んでいると肩に手が伸びたのでだっと後ろを振り返ると、見るからに悪そうな男が数人いた。
全員を見ながらニヤニヤ笑っている。
逃げなくては、と頭では理解できているが行動に移せない。つまりひるんでいるのだ。
この集団はと知っての行動だろうが、ファンクラブなどとは別物だろう。もしもクラブ団員だとしても怪しいクラブだろう。
モンスターボールに手をやろうとするが手が震えて掴めない。
さらに緊張のあまり涙までこぼれてきている。
壁に体重を預けて硬直しているに男が手を伸ばす。
ああ、もう殺すなりなんでもしろ。とあきらめたその瞬間手を伸ばそうとしている男の肩に何者かが手を置いた。
には分けが分からなく混乱したままで硬直したまま、男の肩に伸びている手を見つめ続けている。


「ねえ君たち大人気ないことをしてないで、家で寝てなよ」


その挑発した言葉に男たちは振り向く、その瞬間ピカピカッと光ったと思うと回りにいた男がだらりと倒れこんだ。
ああ、どうなっているのか分け分からない。
倒れていく男たちに半眼で眼をやり何をするわけでもなく硬直したまま、今何が起こっているのか、自分はどのような状態におかれているのか、まったく分からないままで混乱している。
そしてに手を伸ばそうとした男もかなりの拳でもくらったのか、ぐったりと倒れた。
そのまま倒れた男を避けながら、さきほどの”手”の持ち主が歩いてくる。
はその持ち主を見た瞬間、作り笑いを浮かべた。



大丈夫かい!?」


「・・うんまあ・・」



男たちをなぎ倒した張本人ダイゴとそのパートナー、エアームドがいた。
緊張と混乱のあまり乱れた呼吸と目に溢れた涙が輝いている。
ダイゴはその様子に顔を赤くしながらの頭を撫でた。そのままは力なく壁に体重を預けたまま座り込んだ。
それにかなり動揺したダイゴは今にも目の前の男たちを殺しそうな視線を向けた。



「・・はっは・・は、ダイゴごめん、貧血みたい」


「作り笑いはいいから兎に角休まないと。」



ダイゴは苦しそうに座り込んでいるをひょいと持ち上げエアームドに乗った。
はお姫様だっこをされたまま飛んでいる。
とても楽な体勢ではあるが上空でこんな体勢だと今上空の様子がまったく分からなくて恐ろしい。
おまけに目線いっぱいにはダイゴが移っている。
これほど恐ろしい体験はない、さっきのことよりも恐ろしいと顔を赤に染めて思った。
当のダイゴというとと正反対にとても楽しそうに口元が笑っている。
正直何が楽しくて笑っているのか理解不能だ。この男の考えていることはいつも読めないので様々な事で苦戦を強いられる。


気分の悪さ故に何も話す気が沸かずされるがままにどこまでも続く蒼い空を見上げていた。
空を優雅に見上げているのにダイゴの顔がチラチラと視界に入って気に食わない。
どうせ私は今赤面なんだろうな。
いつもダイゴに振り回せれているのが少し気に食わない。
あー・・気持ち悪い。
バサバサと羽音が耳に入る。恐らくエアームドが着陸態勢にでも入ったのだろう。
それに混ざり何か下から声が聞こえてくる。しかも大人数らしい。
しかし気分が悪くてそれがどういうことにつながるかなんては考えられなかった。
ダイゴがエアームドからをお姫様だっこをしたまま降りるとその声はだんだん近くなってきた。





「わーー!だ!!」



「しかもダイゴもいる!!」



さーん!ダイゴさーん!!」




その声たちを近くで聞いたとき初めて身の危険を感じた。
この集団から逃げるためにコソコソと行動してきたというのにこんなところで出くわすとは悪運にも程がある。
ダイゴが自宅に入ろうと後ろを振り返ると玄関をそれらの人物が塞いでいた。
つまり逃げば無し。
それらの人物”迷惑なファン”に囲まれて苦笑しながらを見下ろす。
見下ろされているといえば赤面で降ろせと暴れているが、所詮ダイゴの力に敵うわけがなく状況はまったく変わっていない。


「降ろせダイゴ!!これは上司の命令だ!」


「いつから僕の上司になったんだ。」


「知るか!兎に角降ろさないとクビだ!殺す!!」



人ごみの中でらしからぬ暴言を連発しているのもお構い無しに降ろさないダイゴに泣き出すファンもいる。
自分以外の女と仲良くしているのが気に食わないらしい。
たしかに人前で堂々とお姫様だっこしていられる様子からは付き合っているように見えてもおかしくは無い。
だが実際はただの友達だ。
それに嫌がっている私を差し置いてお姫様だっこを身勝手にしてきたのはダイゴだ。
自分勝手にに妄想を膨らませて泣き出すのは勘弁してほしい。
降ろすように抵抗するのに疲れておとなしくしているはかなり困惑していたのだ。



「ダイゴさん、さんとはどういう関係なのですか?」


「家のになしているんだ!」


は俺のだ!」


「ダイゴさーん!!」



ファンの身勝手な妄想から出た質問攻めの嵐が襲う。
垂直に言うと気持ち悪い。
私はいつ貴方のものになったんですか。
私は貴方なんて一度も見たことがないのですが。雑誌を読んで勝手に妄想を膨らませないでください。



ダイゴも何かと同じようなことを言われの眼から見るに、少々切れ掛かっているように見えた。
まあ当たり前というところだが。
だがただ単にダイゴ本人が迷惑と思う言葉が何故かの心を苛立たせる。

何故だろう聞くたびに言ったファンを殴ってしまいそうな気分。
・・・・嫉妬?
最低だ、これじゃあ私もあの迷惑なファンと同じレベルだ。
ただ友達というだけなのにただのストーカーのようなファンと同じように妄想を膨らませて。
心の奥底ではあの人たちの言うような言葉が簡単に吐けるんだ。
もうダイゴと一緒にいられない。だってダイゴに迷惑だから。
この際ファンの前で堂々と言って誤解を解こう。
ごめんね、ダイゴ。



「ダイ・・」


「僕とはこういう関係だよ」



が口を開いたと同時にダイゴがファンに聞こえるように大きな声で、そして不敵に笑いながらの声を打ち消した。
そしていきなりお姫様だっこのまま身動きの取れない状態のに顔を近づけた。
驚き戸惑って眼を大きく見開いているを見て勝ち誇ったような色目で見つめ、自分の唇との唇を優しく合わせた。
それをすると同時にファンから大きな喚声が漏れた。
泣いているのだろうか、中にはすすり泣きのような音も聞こえてくる。
ダイゴがニンマリと笑いながら顔をあげると悲しさのあまり逃げ出す者もいた。
しかしには何も聞こえず、何も見えなかった。
見えるのはダイゴだけでそれ以外は眼に映っていなかった。



「じゃあ失礼するよ」


ダイゴは嬉しそうに笑いながらをお姫様だっこしたまま家に入っていた。
その様子を複雑な表情で見つめているファンたちが少し哀愁じみていた。


ずっとお姫様だっこされていたを椅子にゆっくり座らせてお茶を出した。
は困惑したしかめっ面を浮かべたまま、出されたお茶を眺めていた。
その艶やかな眼には少し涙が浮かび上がっていた。
その様子を深刻そうな顔をして覗き込んだまま黙っていたダイゴが小さく口を開いた。


、あんな大勢の中でごめんね」


「違う」



ぐっと喉を詰まらせながら苦しそうにが呟いた。
その声は震えていて今にもつぶれそうな、ひ弱な声でいつ消えてしまってもおかしくない。



「・・私はダイゴと一緒にいる資格は無い。
 そうよ、居ないほうがいいの。いたら迷惑なの。
 だから私ダイゴの目に映らないところに旅に行く。」



そう早口で呟きながらガタンと立ち上がり玄関のドアを握ると後ろから腕を握られた。
必死に無言で抵抗しても離さない。むしろ抵抗すればするほど腕を握る力が増してくる。
その強さに腕の力を奪われていった。


「離して!」


「・・・・・。」



「離してよ!!」



ぐいっとが腕を引いて逃げようとすると無言のまま力強く引き返される。
細くすぐに折れてしまいそうな腕をぐいっと引かれ無理やり壁に押し付けられた。
目の前にはかなり怒っているダイゴがいた。
逃げられないまま二人とも無言でにらみあったまま硬直していると小さくダイゴ口からこぼれた。



「お遊びは終わり。
 どこからどう考えてそんなことを言い出したかは知らないけど僕は君を行かせないよ。」


冷たい緊張した空気が張り詰める。
はダイゴの視線から眼を逸らそうとするが、視線という名の糸に縛られて体が自由に動かなくて逸らせない。
頭には怖いという三文字が流れる。
はダイゴを本気で怖いと思ったことは無かったが、今心のそこから怖いという感情が自然に湧いてきた。
それは一般的な『幽霊が怖い』などというものではなくいつも何気なく見ている彼の眼、口、顔、手、心・・すべてが怖いのだ。
無言のまま神経を尖らせたまま見詰め合っていると静かに、しかし冗談ではないという真剣な眼差しで口を開いた。


「もしも君が僕のことを本当に嫌いなのなら僕は止めない。
 だけどもし嫌いでないのなら・・・・」



ダイゴの眼から逃れることのできない緊張感から異様な感覚に陥る。
声は聞こえるが感覚がまったく分からなくて、視界もおぼろげにしか見えない。
兎に角目の前にいる彼に謝りたくてたまらないがどうすれば口が開くか、声が出るかまったく分からない。
の体は無重力という言葉がぴったりな状態だった。
どんどん視界が潰れていって今立っているかも生きているかも分からない。
潰れていく視界を自力で開けようとした瞬間ゾクリと悪寒が走り目の前のものが完全に見えなくなった。




「ここは・・私の家・・・」


が気がついたときにまず写った光景は懐かしい光景自分の家だった。
この家はが旅に出る前に使っていたもので旅を出た後は、一人しか住民のいなかった家には誰もいない空家になっている。
しかし旅に出るにはすでに不要の家だが、もしものために土地は売らずに残しているのである。


「あれは・・夢?」


アレを思い出そうとするがアレの内容がまったく思い出せない。
そして今自分がベットの上にいることから考えると旅の途中、無意識に家に行って寝てしまったのだろう。
自分の非常さに頭が痛くなる。
静かにベットから降り家から出ようとすると家の外からなにやら音が聞こえてくる。
自分の家から聞いたことなどまったく無い音。
恐る恐る玄関のドアを握り外を見ると、そこには広い川が広がっていた。
その瞬間家もドアも消えてしまったのだが、は何故か特に気にならなかった。


少し流れは速く、清んで底が見える川は見るからにも身を切り刻んでしまいそうな冷水がとめどなく流れている。


。こっちに行こう』


耳に囁く様に声が響いた。
聞きなれた愛しくて合いたくて仕方が無かった声。
聞こえた方へ振り返るとそこには声の張本人『ダイゴ』が優しく微笑みながら立っていた。
どことなくいつもと違う懐かしいような雰囲気を出していたが、特に何も考えていなかった。
ダイゴに腕を優しく握られて川の中に足をつけていく。
川は思っていたより冷たくなかった。むしろ暖かい。
不思議に思い不意に川を覗き込もうとダイゴが少し早いペースで歩き出した。
川のことも気になるけれど今は一番一緒にいたい人といられる貴重な時間を大事にしたいと思い、ダイゴに遅れないように歩く。


「ねえ、。君は僕といられて楽しい?」


川の流れと足を前に出すたびに奏でる水を押す音だけの空間をダイゴが不意に破った。
そう切り出したダイゴの顔は実際は笑っているけれど、どことなく悲しんでいるような面影を感じられた。
声にも何か裏に訴えかけているかのような声。
いつも意思の強いダイゴとは裏腹に自信なさげな声で、それどころか大人の雰囲気も高貴な雰囲気も消え幼げな口調で訴えかけてきた。


「当たり前。私はダイゴといて嫌だと思ったことは無いよ」


がやんわりと微笑むとダイゴは俯いてぎゅっとの腕を握った。
その瞬きをした瞬間目の前にいた自分より大きなダイゴがいきなり小さな子どもに変わっていた。
目の前にいる少年はある人間にそっくり、否同一人物だと瞬時に思いつかせた。
その少年はまだ幼い時のダイゴだったのだ。


「ごめん、。僕は小さいころのダイゴの心なんだ。
 大人になったダイゴには不要でね、どこか分からない場所に連れて行かれたんだ。」


幼いダイゴが俯いたまま二人にしか聞こえない小さな声で呟いた。
普通では理解不能なことばかりだったが、何故かその口から出てくる言葉が真実だと自然に耳に入っていく。


「ずっとここに一人でいてさびしかった。
 だからを呼んで、ここの人にしてしまおうとしたんだ。」


ダイゴは泣きながらの腕を放した。
はとりあえずダイゴの手を握って川から出ることにした。
ふっと川を見下ろすと、さっきまで透き通っている川だった筈なのに今はドロドロの汚い川といえないものだった。
どうやらダイゴはこれに気づかれるのが嫌だったようだ。


「僕を殺そうとしたんだ。
 大人の僕からを奪おうとしたんだ」


ダイゴは泣きながらゆっくり舌を絡ませないように言葉を発した。
がダイゴを何も言わずにしゃがんだまま凝視していると彼は嫌われたと思ったらしい、川の向こうに帰ろうと背を向けた。


「ごめん、。邪魔してごめん。
 ・・・・でも大人のダイゴは嫌いにならないでね。」


「待って!」


背を向けて川に足を踏み入れようとしたときが彼の腕を握り引き戻した。
そのままダイゴを握り締めたまま川の反対方向を向いた。


「大人のダイゴは君を必要としているの!何もかもに縛られている彼を解くには君が必要なの。
 それに君はダイゴの一部だからずっとダイゴと一緒にいないといけないんだよ」


震えた声、は泣きながらダイゴのぎゅっと抱きしめ頭をぐしゃぐしゃと撫でた。



「君は大人のダイゴのことを大事にしている。それだけで存在する意味はあるんだから。
 私と一緒に帰ろう?」



そう声を振り絞って出した言葉とともに空がまばゆい光を発し始めた。
反射的に驚きの声が漏れるが音にならない。
まるで光が何もかも取り込んでいっているように。
驚きつつも先ほどまで抱きしめていたダイゴが座っている場所を見ると、そこにはニッコリ微笑んでいるダイゴがいた。
その笑顔は命を授かった時の中で汚れの無い一番の純粋な笑顔だった。


「・・また・・あ・・おう・・・・ね・・・・。」


光に吸い込まれて途切れ途切れになった言葉がの耳に入ってきた。
そしてダイゴ自身も光に導かれるように消えていった。
その様子と言葉を聴いた瞬間何も心配することは無い、と胸をなで落とした。
あの自信と夢を見つめている笑顔と、純粋な笑顔を見たら誰だってそう思うだろう。
静かにダイゴが導かれていった光を眺めていると、までも導かれるように消えていった。







そこから視界に移るものは何も無かった。















・・!?」


「・・あ。」


大きな声に驚き眼を開けると視界に移ったものは、白い天井と心配そうな顔で覗いて来るダイゴだった。
ダイゴの顔を見た瞬間描かれる情景はさっき光に導かれていった幼いダイゴの心。
あの明確で生々しい映像は夢ではないとすぐに確信された。
ということは今このダイゴの心には彼が還ったのだろうか。
真剣にダイゴの眼差しを穴が開きそうなほど見つめているとダイゴの中で彼が微笑んでいる気がして思わず微笑んでしまった。
彼は還ってきた。
それがとても嬉しくて思わず涙がこぼれそうになる。
私は実のところ涙もろいのかもしれない。


「ごめん。追っかけファンで疲れていたのに
 僕が体調を崩すようなことをしたせいでこんなことになってしまって。」


たしかに追っかけ迷惑ファンに頭を悩ませているときに追い討ちのように、ダイゴからプレッシャーを受けてストレスが限界に達して倒れてしまったのだろう。
それどころか最近はろくにご飯が喉を通らない状態だったので栄養が足りていなかったようで結構危ない状態だったらしい。
そのことに罪悪感を感じたのだろう、ダイゴは真剣に謝り頭を下げたままだ。


「いや、ダイゴは悪くない。
 むしろいい体験をしてきたよ、有難う。」



そうニッコリ笑い返すとダイゴはその言葉にぽかーんと口を開けた。
ダイゴにはいい体験の意味がまったく分からないらしい、頭をポリポリと掻きながらどう反応すればいいか考えているようだ。
その様子に微笑みは小さく呟いた。



「かけがえの無いものはすべてここにいるってこと」



そういいながら自分の胸を軽く押さえた。
あまりにも小さな声だったのでダイゴにさえ聞こえていないようだったが、彼の心にはきっと届いているのだろう。











大切な君と君へ



































私の心の声が聞こえていますか?




























ここにいてくれて有難う。



























☆☆☆★☆

こんにちは。
駄目管理人一級を持っている弱音です。
本当はリクのつもりで書いていましたが、これをどうハーレムにしろと!?
というわけで一気に話の路線を変更してこういうことになりました。
何か話道がおかしいな、と思ったらそのせいです。ごめんなさい。
小学生の頃、なんという方か分かりませんが図書館である本を読みました。
その本の後書きに著者がこう書いていました。



本当の世界を見るときが出いているということは
それは自分の意思で心を動かすことが出来
心だけで触れ合うことが出来る人を持ったときであると私は思っている。



と書いておりました。
小学生の自分にはそれについて考えはしませんでしたが
とても深く心に残っていました。
そして今も残っています。
それから何年も経て、今の自分が出したその考えがこのドリーム小説です。
本当はもっと書きたかったのですが、少しカットさせていただきました。
書いているうちに自分が感情的になりすぎていましたので^^;
しかもコレの二倍の量でした!!!(危)
今のところこのドリームが一番気合入っていると思います。(笑)
このドリームを読んで下さって有難うございました。

















Created by DreamEditor


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