タイトル『旅』




自分を犠牲にしてでも守るもの
 
                自分を捨てて昇るもの

                             かけがえのないもののための代価















ヒマワキシティに今日も日が昇る。
雲もなく晴天で、久しぶりに仰ぐ青空だ。

『ねぇ、お空にペリッパーが飛んでいるよ!』

『あらあら、本当ね。久しぶりに晴れたから喜んでいるのよ』

そんな皆が喜ぶ日。そんな喜びの日に、そんな嬉しい日に、見慣れない集団が現れて。


『・・・・冷凍ビーム・・』


それは私たち家族を襲った。
その日は私の、悲しみの晴天の大雨となった。








「・・・・・」

・・誰?

「・・・・」

・・来ないで!

!」

「!?」

目を開いてはじめに入ったものは、とても心配そうなダイゴの顔だった。
どうやら自分を呼んでいたのはダイゴだったようで、声を聞いて拒否していたことに心の中だけで謝る。

「すごくうなされてたんだけれど・・涙まででてるし・・。」

「え!?あ、うん・・。」

まさか夢の中で泣いていたけれど、現実でも涙がでていたとは思わずいそいで手で拭くがいつまでたってもふき取れなかった。

「・・・・・・・。」

「!」

何度も何度も涙を拭いてもとまらない理由が分からないまま拭いていると、いきなりダイゴが抱きついてきた。
いつもならダイゴを退かすだったが、それどころか自分も抱きついた。
ダイゴに抱かれるまま震えて何もしゃべる様子がなかったが口を小さくパクパクさせて何か言おうとしているのが分かる。しかし本人が言うまで黙っておいた。

「・・・だっ、ダイゴ」

震えた声を一生懸命一言、一言絞り出すようにがしゃべりだした。
それを決して口出しせずにダイゴは静かに聞く。
まるでのわがままを聞くような、しかし本気でかなえようとする意気込みを漂わせながら。

「・・ダイ、ゴはいな、、くならな、いよね・・?」

必死に、ゆっくりとの口からあふれる一語はとても10代の子がしゃべる声ではなく、小さい幼児が口にするような声だった。
ダイゴはそんな少女の頭をゆっくりとなでながらそっと耳元でつぶやいた。

「大丈夫。僕は絶対の前からは消えないから。」

そうやさしくつぶやくと同時に、の体がピクリと揺れた。
そしてダイゴの体に全体重を任せてさらに泣き出した。それを受け止めてやさしく頭をなでながら、今日の朝をすごした。











※※※※※※




「・・朝の件はどうも有難う御座いました。」

もしっかり泣き止み体調をだいぶ整えて朝ごはんならぬ、朝昼ごはんをダイゴと取っている。

「いや、僕もいい体験をしたし。」

ダイゴはにこやかに『いただきます』といいコーヒーを一口飲んだ。


いい体験というのはダイゴのことだから恐らく私の泣き顔と、昼間でずっと私とくっついていられたことだろう。
しかし、これは建てまえの言葉だろう。
ダイゴは多分、いや絶対私の泣いていた夢の内容を分かっている。彼は私がそのことでないと泣かないのを知っているから。
それに彼はその事件に居合わせた張本人なのだし。


夢、いや、その事件は私が小さいころに起こった。



カナズミシティに住んでいるダイゴは休日になると、いつもヒマワキシティに自分のポケモン『エアームド』に乗ってやってきていた。
そのときのダイゴも私もまだ小さくて、花を摘んだり、かけっこをしてみたりしていた。

そして休日、いつものように晴天の空の上からダイゴがやってきた。

「お母さん、ダイゴ兄ちゃんと遊んでくるね」

「いってらっしゃい」

「・・・。」

父と母はいつも『いってらっしゃい』といってくれたが、ダイゴよりひとつ上の兄はダイゴのことになるととても機嫌が悪くなっていた。
その日もそうだったけ。

「ダイゴ兄ちゃん!今日はコイキング釣りしょ!」

「うん。どっちが大きいのを釣るか競争だ!」


本当に楽しかった。そのときまでは。

結局、田舎育ちでよく釣りをしていた私が圧勝して、勝ったコイキングをバケツに入れて自慢しにダイゴと自分の自宅に帰ろうとした。

ヒマワキシティなので自宅は高い木の上にある家で、そこにいくまでの階段を登ろうと階段に手をかけようとしたそのときだった。


「・・シザリガー、冷凍ビーム・・」

その声を聴いた瞬間ダイゴが階段に急いで登ろうとした私を抑えて、町の中にある草むらに、抵抗する私をひっぱって身を潜めさせられた。
小さい子どもだったから隠れられたのだろう。
謎の集団は、私たちに気づかず去っていった。

そのあと自分の家に急いで様子をみにいこうとして登ったのはいいが、異変に気づいた近所の人がふさいでいて 『見てはいけない』といわれた。
私とダイゴは何が起こったのかまったく分からなくて、小さい体を使って人と人の隙間を通って家の中を見た。
するとその部屋の中にあったのは、いつものにこやかな家じゃなかった。
部屋全体が凍っていて、父も母も兄も氷の餌食にされていた。
まるでここだけ時間が止まってしまったかのように。

そのまま立ち尽くしていると、近所の人に目を隠されたまま下に下ろされたのだ。
本当に何が起こったかわからなくて、言葉もなにもでなくて、ただただ泣いた。


それからというもの、ポケモンを育てていつかあの集団を潰してやると思い続けた。
その集団がなんというかも知らないが、とにかく潰してやる、と。

もしあのとき彼がすばやく身を隠すという行動に移らなかったら、ダイゴも私も氷の餌食になっていただろう。
彼のおかげで今、仇がとれるのだろう。
そして私は、彼までにもきつい思いをさせてしまったのだ。恩を痣で返しているということだ。


過去から離れてチラリとダイゴの方を見ると、それに気づいてにっこり笑った。

「ねぇ、

「何?」

ダイゴがとても優しくほほえみながらテーブルに身を乗り出して、私の髪をなでながらつぶやいた。

こそ、僕の前から消えないよね?」

は少し拍子抜けして、優しくにっこり笑って「うん、絶対消えないから!」と返事をした。




晴天の青空、少しだけ好きになった気がする。



☆☆☆☆★☆

反省会。
重要部分がうまくかけていない・・。
てか、つっこみどころ満載。
1、ダイゴはいつになったらさんを呼び出した本題を言うのか。
2、さんのお兄さんは シスコンかよ!?
3、さんとお兄さんはダイゴ以上に年の離れている兄妹だね!(ニッコリ)
4、題名は旅なのに、どこにも旅立ってないんだけれど・・?

次の話で本題行きたいと思います・・・。




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